2011年3月30日水曜日

万葉集



「陸奥国より金を出せる詔書を賀く歌」から(1)

葦原の 瑞穂の国を 天降り 領らしめしける 皇御祖の 
神の命の 御代重ね 天の日継ぎと 領らし来る 
君の御代御代 敷きませる 四方の国には 山川を 
広み厚みと 奉る 御調宝は 数へ得ず 尽しもかねつ 
しかれども わご大君の 諸人を 誘ひ給い 善き事を 
始め給ひて 黄金かも 確けくあらむと 思ほして 心悩ますに
鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 黄金ありと 
申し給へれ 御心を 明らめ給い 天地の 神相珍なひ皇御祖の
御霊助けて 遠き代に かかりし事を 朕が御代に 
顕はしてあれば 食国は 栄えむものと 神ながら 思ほしめして
物部の 八十伴の男を 服従への 向けのまにまに 老人も
女童児も 其が願ふ 心足ひに 撫で給ひ 治め給へば 
此をしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて.....

大伴家持 巻•十八 四〇九四